めずらしく3日連続の投稿です(^^)
今日はSP-TDCでのバキュームセンサーの使い方です。
これについては、作りたかったのに作れていないっていうのとはちょっと違います。
他ではやっていない制御方法なので、なかなか伝わらず思うように進められないといったとこですね。
SP-TDCは、エンジン負荷を検出するのにバキュームセンサー1個だけという独特な方法でやってます。
バキュームセンサーで制御してますから、Dジェトロとか、負圧方式だろと思われるのは
いたしかたないところですよね(^^ゞ
でも、たぶん既存のどの方式にもあてはまりません。
独自の方法をとってるっていうのが、なんか元凶になっちゃってまして
バキュームセンサーだけでインジェクションなんて出来るわけない っていう酷評あり、
たった1個で素晴らしいと好評価だったり、
はたまたインジェクションにしては設定項目の少なさから初心者向けと思われたり、
いやいや、初心者向けではなくマニア向けだとか(笑
まぁ、賛否両論ですね(^^)
それがお客さんの評価ですから、それに対して反論も何もないんですが
ただ、相変わらず伝わんねぇなぁ とは思ってます(^^)
独自のやり方なんだから、ある程度しかたないんですけどね。
なんでそんな世の中のインジェクション制御に反したことをするのかというと、
おれがパソコンのプログラマーだからでしょうね(笑
事務系ソフトを作ってきたクセだと思います(^^ゞ
センサー付けまくってより詳細な情報を得て正確な制御をするというのもアリだと思いますが
そういうの、単純に好きじゃないんですよね。
出来る限り少ない入力から得られるだけの情報を活用する、無理やりな制御をせず自然な流れで制御する、
そんな感じが好きなんです。
でも、伝わらないことには思ったセッティングにならないので、なんとか伝える努力はしないといけませんね。
てことで、確かなデータがないと伝えようがないので、今回、実車に装着していろいろ自分で走るしか
ないだろうって思ってます(^^)b
バキュームセンサーを使ってるというと、思い浮かぶのは負圧式キャブみたいな感じじゃないかと思います。
スロポジだと強制開閉のキャブって感じでしょうか。
負圧式では、なんかどんくさいイメージですよね。
負圧式キャブと明らかに違うのは、どこの負圧を拾うのかってことです。
キャブの場合、ダイヤフラムの位置はバタフライバルブよりエアクリ側ですが、
SP-TDCのバキュームセンサーはバタフライバルブよりエンジン側です。
また、キャブの場合は負圧には違いないけど、どちらかというと吸入空気の流量のほうが近いかなと思います。
アイドリングの時にはほぼ全閉じで、回転が上がるとダイヤフラムに引っ張られてニードルが上がりますよね。
この挙動が、バタフライバルブよりエンジン側の負圧とはちょっと動きが違うんです。
それからインジェクションでバキュームセンサーを使う場合は、一般には負圧を平均化します。
多気筒なら各気筒をチューブで連結したり、単気筒ならチューブの途中にオリフィスをもうけたりですね。
ECU内部でも数値を平均化して扱います。
ところが、SP-TDCでは一切平均化しないで使ってます。
平均化しないバキュームセンサーの値って、↓こうなってます。
青いラインがエンジン停止時で大気圧の値です。
赤いラインは、約1700rpmでアイドリングしてるときの値です。
グラフが下降してるところが吸気バルブが開いて吸ってる時です。
吸気バルブが閉じると、バタフライバルブの隙間から空気が入ってきて徐々に気圧が大気圧に戻っていきます。
吸気バルブの開き始めにポンと気圧が上がるのが吹き返しですね。
SP-TDCでは、このグラフの一番下がったところを使ってると思ってもらえればOKです。
こうすることで、実にいろんなことがわかってくるんですが、これがなかなか乗ってみないことには
伝わらない(>_<)
なんとか文字で伝えられるところをご紹介すると、たとえばパーシャルの状態。
空ぶかしでも、一定速度巡航でも、上の波形のグラフが一番下がるところはほぼ変わらないんです。
つまり、アイドリングときのグラフが一番下がる位置と、3000rpmを維持してるときのグラフが一番下がる位置が
だいたい同じになるんです。
これは走行しててもあんまり変わりません。
となると、燃調マップではどうなるかというと、↓こんな感じです。
要するに、50km/hだろうが100km/hだろうが一定速度で走ってる時がだいたいエンジン負荷0%だと
思ってマップを書けばいいので簡単なんです。
これがスロポジだと、巡航してても回転数が高い方がわずかにアクセル開き気味になるので
マップ上では斜めに推移することになります。
どの回転数でも、マップ上のエンジン負荷率が高いほうがフル加速、低いほうはそこそこ加速、
0%付近が速度一定の巡航です。
だから、SP-TDCの燃調マップは、回転数では変化させず、エンジン負荷率だけで変化させる
バカみたいに簡単な2Dマップを書いただけで、そこそこ走っちゃうんですね。
これ、普通のインジェクション制御では無理です。
アイドリングしてそこそこ走るマップ書くだけで、かなり大変です。
そんなマップをゼロから書ける人はすごいです(笑
それから、加速増量。
アクセルをガバっと開けたときですね。
スロポジでは、ガバっと開けようが そ~っと開けようが、開けた位置は同じなので
開けたスピードも測らないと加速増量はできません。
バキュームセンサー値を平均化しないSP-TDCではどうなるか。
ちょっと、自分がインマニ内に入った気分になってみてくださいね。
アクセルをガバっと開けると、自分の背後のバタフライバルブがガバっと開きます。
そうすると、空気が爆風のように入ってきますね。
インマニ内の気圧は急激に上昇します。
今度はアクセルを そ~っと開けます。
バタフライバルブが静かに開いて、そよ風的に空気が入ってきます。
気圧は、静か~に上昇しますね。
ってことなので、ガバっと開けた時と そ~っと開けた時では気圧の変化量が違ってくるんです。
マップ上では、そ~っと開けた時よりガバっと開けた時のほうが負荷率が高いところを指します。
そうすると、わざわざ加速増量マップを書かなくても、負荷率の高いところのマップを上げれば
いいだけなんです。
SP-TDCに加速増量を付けてくれってよく言われるんですが・・・・
すみません、それ、マップが合ってないだけなんです。
そんなことで、SP-TDCはセッティング項目が異常に少ないくせに、なんかちゃんと動くってことになってます。
自然の摂理をうまく使ってるといえば、聞こえが良いでしょうか(笑
他にもいろいろあるし、検証してみたいことも多々あるので
「作りたいECU」プロジェクトでは、自分で走って突き詰めてみたいと思います(^^)b